学術

日本雨水資源化システム学会大会が福井で開催されました

笠井 利浩(福井工業大学准教授) 

研究発表会会場の様子

研究発表会会場の様子

2014年11月1日(土)~2日(日)の2日間、福井工業大学 福井キャンパスにて、第22回日本雨水資源化システム学会(注1)大会が開催されました。今回の大会には、東は東京、南は沖縄から63名の方々が参加され、研究発表会では近年の大会では最も多い、40件の研究発表が行われました。

日本雨水資源化システム学会は、「地球上のあらゆる生命にとって欠くことのできない水資源の問題を、より普遍的な「雨水の資源化」という一般化概念の中で捉え、水資源の涵養、開発、利用、保全のあり方を、国内のみならず幅広く世界的視野からも学術的に研究、論議し、雨水指向の水資源科学の体系化を図ること、そして21世紀における「食糧/水危機」の克服に必要な新たな水資源戦略を提案する」事を目的に活動を行っている学会で、国内では唯一学会名に「雨水」というキーワードを持った貴重な学会です。

今回の大会では、河川や地下水の流態解析、水生生物と河川形状の他、雨水活用に関しては下記のような10件の研究発表があり、活発な議論が交わされました。雨水関係の発表の傾向としては、気象データや大規模、小規模雨水活用システムに関する発表の他、雨水タンクの販売動向や雨水ネットワーク会議の報告等も行われ、テーマの幅の広さが印象的でした。

第22回日本雨水資源化システム学会大会研究発表会での雨水活用関係の発表テーマ

第22回日本雨水資源化システム学会大会研究発表会での雨水活用関係の発表テーマ

また今回は、大会全体のアートディレクション(要旨集の表紙や目次のデザイン、会場サインデザイン作成及び会場設営)を福井工業大学講師の近藤晶先生にお願いし、黒の背景に水の泡が舞うデザインで大会を盛り上げて頂きました。近藤先生には、今年8月の雨水ネットワーク会議の際にも会場全体のアートディレクションをご担当頂きましたが、今回の大会では全く異なったイメージに仕上がり、イベント時におけるデザインの力を見せて頂いた気がしました。

1日目の夜には交流会が行われ、41名の参加者がありました。学会長の宮崎大学の稲垣仁根先生のご挨拶の後、笠井玉喜さんによるヴァイオリン演奏も行われました。ふくいポーク、越前おろしそば、水羊羹(注2)等の福井にちなんだ料理が並び、参加者の方々は出された料理に舌鼓を打ちながら、交流を深めておられました。

本大会は来年度は、名古屋市で開催予定です。興味のある方は是非ご参加下さい。研究発表会へのご参加は、非会員の方でも可能です。下記、学会のHPから申込受付期間内に参加申込をして下さい。

 注1:日本雨水資源化システム学会(Japan Rainwater Catchment Systems Association http://rain.jp/)

注2:ふくいポーク 福井県畜産試験場から種豚が供給され、三元交配種として生産した子豚を徹底した衛生管理のもとで育てた豚だけが「ふくいポーク」とされます。福井県でふくいポークの生産農家は2軒。

越前おろしそば  福井県産の玄そばを石臼で引いたそばに大根おろしを添えたシンプルな料理です。

水羊羹 福井では水羊羹を、冬に食べる風習があります。炬燵で水分たっぷりでとろけるような柔らかさと甘さを味わうのが福井人。

かさい としひろ。1968年京都府生まれ、福井工業大学工学部経営情報学科准教授、NPO法人雨水市民の会理事、日本雨水資源化システム学会評議員、日本建築学会雨水活用技術規準策定小委員会委員を務める。自ら始めた稲作を通じて雨水に目覚め、雨水活用の技術開発から環境教育を含めた普及まで幅広く活動中。

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