ひと・市民

エコネットはむら、活動開始!(東京都羽村市)

小川幸正・高橋朝子(Webあまみず編集委員)

2014年に雨水市民の会に入会された島田誠一さんは、東京都羽村市で「エコネットはむら」というグループで地域に根ざした活動をしておられます。2014年12月6日(土)に、小川、高橋2名のWebあまみず編集委員がエコネットはむらの活動について、雨水活用を中心に取材してきました。

エコネットはむらは、2013年に羽村市の環境保全課が地球温暖化対策推進協議会として公募して集まった20人弱の人たちの任意団体です。現在は、事務局を市役所が担っていますが、自立を目指して独自の活動を展開。2013年は、竹林のメンテナンスや処理に困っている人たちを探して、無料で手に入れた竹で竹炭を作って、肥料や消臭剤として無料配布したそうです。また、島田さんを中心に雨水活用の取り組みも始め、自家製の雨水貯留装置を希望者の家、5軒に設置し、材料費プラス製作費だけを払ってもらっているそうです。羽村市の雨水タンク設置への補助金制度等がなく、より雨水利用を推進するためには補助金制度ができればよいと、市役所に働きかけているそうです。

見てよし、使ってよし、洪水防止によし、手作り雨水タンク

雨水利用のきっかけは、畑や庭木の水やりに水道を使うことによるエネルギーを極力少なくしたいこと、雨水市民の会の「流せば洪水、貯めれば資源」に賛同し、ミニダムを各戸に作りたいと思ったからと、島田さん。雨水タンクは見て楽しくなり取り付けてみたいと思えるもの、雨水使って重宝、雨を下水道や河川に極力流さずに洪水防止できるくらいに普及をしたいと、「見てよし」「使ってよし」「洪水によし」を合言葉に、手作りで使用者の声を聞きながら改良を重ねておられます。

島田さんは、石油コンビナートの作業環境保全の仕事をして退職をされた方で、雨水タンク作りにはコダワリが感じられました。初期雨水カットの1ℓくらいの50mmの塩ビ管で溜めた後のオーバーフロー水がタンクにたまる仕組みになっており、バルブも普通の市販の蛇口ではなく、工業用のものは故障がないのでよいとのこと。架台は防腐処理をした木を組んだもので、転倒防止のための支えもあります。

1か所タンク内に藻が発生したため、島田さんは初期雨水カット槽の次に竹炭を入れた槽を通ってタンクに行くように改善したことを説明されました。「藻の発生は、タンクの壁面が薄くて光が内部に透過するためじゃないかなあ、遮光すれば竹炭の槽がなくても大丈夫じゃない?」と、質問したところ、「じゃあ、今度やってみよう」と島田さん。次々に改良を重ねていく姿勢に、雨水活用に対する熱意を感じました。

東京都の水源である多摩川から浄水場へ水を送る羽村取水堰なども横目に見ながら、雨水タンクをつけておられる家を次々と見せていただきました。

戸井田さん宅雨水タンク

⇐戸井田さん宅の雨水タンク(2014年7月設置、150ℓ)。初期雨水カット槽に加え、竹炭を入れた槽を通ってから、雨水タンクに入る。周囲を鉢植えでかざり、タンクの色も家の色調に合わせた感じ。四隅に転倒防止の支えがある。集水する屋根面積が狭かったため、タンクに雨水がたまりにくいから、反対側の片屋根の樋からも持ってきてもよいかもしれないと島田さん。

 

 

浅見さん宅雨水タンク

⇒浅見さん宅の雨水タンク(2014年6月設置、200ℓ)。戸井田さんのタンクに比べ、タンクの壁が薄く、竹炭の槽がない。光が透過してしまうので遮光のためにグレーのペンキを塗ることを勧めた。浅見さんは畑の水やりにも使っているとのこと。

 

 

 

 

西谷さん宅雨水タンク⇐西谷さん宅の園芸用雨水タンク(2014年7月頃設置、120ℓ)。園芸用タンクは、ガレージの屋根の半分から集水している。西谷さんは自分でタンクにペンキを塗って粋な装飾もしておられ、雨水活用を楽しまれているようだ。他に非常時用雨水タンク200ℓ設置。

 

 

 

 

関口さん宅のエコハウス

⇒関口さん宅。一級建築士の方で、自宅をエコハウスとして10年前に建築。雨水は家の四隅にある縦樋から直接4か所の雨水タンクに入る。写真の右下に見える井戸ポンプの地下に、1㎥の樹脂製タンクがあり、ポンプで汲み上げてトイレ洗浄に使っている。そのタンクが空になると、手動式でサイフォン現象を利用して、ホースで他の隅にある地上設置のタンクから補給する。5人家族で水道代は月10㎥未満だそうだ。他の2か所の雨水タンクは、農業用の樹脂製のタンク(ふたなし)を半地下に設置したものだが、蚊の発生が心配される。他にパッシブソーラー、多摩の無垢木材、土壁、土間の居間などのエコハウスとしての工夫がある。冬の朝で外がマイナス気温でも、室内は暖房なしで13℃あり、晴れた日は24時間暖房いらずで暮らしているとのことで、湿度も適度で、居心地がよさそうだ。

水車小屋でエコネットはむらのメンバーと交流会

「春にはここに一面にチューリップの花が広がるんです。今度4月にいらっしゃってね」冬の早い夕暮れ時、稲刈り後の広い田んぼを指さして、メンバーの関美智子さん。島田さん他3人のメンバーと、チューリップ畑のすぐそばの、床下を豊富な農業用水が流れる水車小屋のカフェに入りました。おいしいコーヒーを飲みながら、交流会となりました。

エコネットはむら議長の大崎玄さんが質問をしてきました。「雨水活用は水道水を使うよりエネルギー的にも少ないのではないですか?裏付けるデータがあれば、地球温暖化対策にも役に立つと思うんですけれど」

「そうです。雨水活用の方がエネルギー的に低いのですが、では具体的に数字は?と言われるとなかなか出し辛いですね。水道水の電力消費量や炭酸ガス発生量の試算などが具体的なデータとしてネットなどにもあります。日本水道協会の『水道統計』によれば、日本全体の水道水の電力使用量は、0.52kWh/m³(平成18年)と報告されています。水道事業者の規模で100万人以上の規模では、水道水の電力使用量は中小規模に比べて少なく、0.44 kWh/m³(平成18年)となっています。また、上水道1m³の供給に伴って排出されるCO2排出量は220g-CO2/m³(厚労省健康局水道課、2009年)です。日本建築学会の委員会では、雨水活用技術規準を作成中ですので、この中に雨水利用による各種の評価を記載する予定なので、規準がまとまればお知らせします」(小川編集委員、日本建築学会の雨水活用技術規準作成小委員会にも所属)。素朴な質問ですが、数字となるとなかなか難しいものです。

そうこうするうちに、外は真っ暗となり、解散。エコネットはむらのみなさん、ご協力ありがとうございました。

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