活動記録

雨タスサロン④:雨+銭湯(2017.2.15)
伊藤林さんが語るエコ銭湯の話

柴 早苗(雨水市民の会理事)

御谷湯は2015年5月に鉄筋コンクリート造り5階建ての銭湯にリニューアルされた。

御谷湯は2015年5月に鉄筋コンクリート造り5階建ての銭湯にリニューアルした。

伊藤林さんは、お父さんの代から墨田区石原で銭湯を経営しています。30年以上前、前事務局長の村瀬誠さんと出会い、雨水活用を始めました。旧御谷湯の屋根から集めた雨水をため、トイレの流し水や資源回収拠点として集まる空き缶の洗浄に利用しました。また、1994年の雨水利用東京国際会議では、実行委員として子どもたちを対象に「雨水探検隊」を立ち上げ、子どもの目線で雨水の大切さを広める活動をして、地域から国際会議を盛り上げました。

2015年5月に、念願だった御谷湯を建て直し、新銭湯をオープンさせました。伊藤さんは若いころから地域で福祉ボランティアをされている関係で、車いすの人がゆっくり入れるお風呂を作りたかったそうです。それが後述する1階の福祉型家族風呂となりました。2階は障がい者のための就労支援施設、3階は機械室、4、5階が銭湯で、都会の銭湯らしくビルとなっています。

4階と5階は「黒湯」と呼ばれる温泉に入れる銭湯。1階は車いすの人が家族と入浴できる施設、2階は障がい者のための就労支援施設がある。

4階と5階は「黒湯」と呼ばれる温泉がある銭湯。1階は車いすの人が家族と入浴できる施設、2階は障がい者のための就労支援施設がある。

屋上で集めた雨水は、地下の5トンの地下タンクと4階の200ℓの雨水タンクに入ります。大きな地下タンクはポンプで上げて、トイレの流し水と玄関脇の水琴窟の水に使っています。小さなタンクは動力を使わないで吹き上げる噴水と水路がある小さな箱庭の仕掛けに使っています。雨水利用の分は下水道料金も取られるため、雨水用のメーター(補給に使う水道水も含む)があります。メーターが付いた2015年12月から実測を始め、これまでの14か月余りでメータは327㎥の使用、補給した水道水が201㎥でしたので、126㎥(使用量の約4割)を雨水で賄ったことになります。なお、墨田区からの助成金は、2つのタンクで20数万円だったそうです。

御谷湯は、都内でも珍しい源泉かけ流しの天然温泉ですが、大変ユニークな銭湯でもあります。介助が必要な人と家族が一緒に入れる福祉型家庭風呂には、都内ばかりでなく、遠方からやってくる家族もあり、大変ありがたがられているそうです。露天風呂につかりながらスカイツリーも眺めることもできます。地域柄、相撲取りが入浴に来るのですが、大きな浴槽に入るとザザーと浴槽の湯が一気にあふれ出てしまい、お湯を補給するのに苦労するそうです。他にニューハーフ等のお客さんへの対応、HSP(Heat Shock Protain)入浴法等々、お風呂にまつわる話が満載でした。

参照 Webあまみず「雨水銭湯『御谷湯』、リニューアルオープン」2015.5.7掲載

伊藤さんの武勇伝も飛び出し、場が和む。

伊藤さんの若いころの武勇伝も飛び出し、場が和む。

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