行政

「平成29年版水循環白書」と 「平成28年版日本の水資源の現況」のご紹介

小川 幸正(理事)

図1 平成29年版水循環白書の表紙

図1 平成29年版水循環白書の表紙

平成29年版水循環白書」(平成28年度水循環施策)が平成29年7月31日に内閣官房水循環政策本部から発行されました。「水循環白書」は平成27年から内閣官房が取り纏めており、それ以前は「日本の水資源」の名称で国土交通省水資源部が発表していました。また、「日本の水資源」において取り纏められていたデータ等は、平成27年からは年次更新を行い、前記水資源部より「日本の水資源の現況」として公表されています。

私は前述の「平成29年版水循環白書」と「平成28年版日本の水資源の現況」を入手しましたので、雨水活用に関しての記載内容に関して、簡単に報告したいと思います。なお、この2冊共に国土交通省のホームページで入手することができますし、水循環白書は内閣官房から本年7月31日に販売開始(税抜き1,600円)されております。雨水活用に関する具体的な内容はそちらをご覧下さい。

1.平成29年版水循環白書(閣議決定名:平成28年度水循環施策)

水循環白書(表紙は図1)は、水循環基本法の第12条の規定で、政府が水循環に関して講じた施策について毎年国会に報告することになっているので、国会で閣議決定された内容で発表されています。水循環白書は、以下の2部構成になっています。

第1部 私たちの暮らしと水の循環~水循環の重要性や現在の取組みと今後の展望

第2部 平成28年度に水循環に関して講じた施策

ここでは、水循環白書で取り上げられている雨水活用に関係する記載内容の概要を以下に示します。

①水循環に関する近年の取組み/水を取り巻く環境の変化(気候変動)

図2 日本の年間降水量偏差(気象庁資料)

図2 日本の年間降水量偏差(気象庁資料)

●年間降水量は長期的には変化が見られないものの、昭和45年(1970年)以降は年ごとの変動が大きくなっている。図2に国内51観測地点での年降水量の偏差が示されており、1970年以降の変動幅が大きくなっている。

●一年の中でも、時間降水量50㎜を超える短時間強雨の発生回数が増加している。図3に1976年以降に発生回数が増加傾向であることが分かる。

図3 短時間強雨(1時間降水量50mm以上)の年間発生回数(気象庁資料)

図3 短時間強雨(1時間降水量50mm以上)の年間発生回数(気象庁資料)

●日降水量100㎜以上の降雨日数も増加している。

●弱い降雨も含めた降水の年間日数(日降水量1.0㎜以上の年間日数)は減少している。

②水の適正かつ有効な利用の促進等/安定した水供給・排水の確保等/災害への対応(災害から人命・財産を守るための取組み)

●流域の持つ保水・遊水機能を確保し、多発する大雨や短時間強雨による浸水被害軽減のため、調整池の整備により雨水貯留することや、特に内水対策として浸透ますや透水性舗装等の整備で、流域が一体となった浸水対策を推進するとともに、新世代下水道支援事業制度により貯留浸透施設等の整備を促進した。

③水の適正かつ有効利用の促進等/水の効率的な利用と有効利用/雨水・再生水の利用促進

●雨水利用・排水再利用設備計画基準を制定し、平成28年4月に適用を開始。

●都道府県方針及び市町村計画の策定が円滑に図られる様に、雨水の利用の推進に関するガイドライン(案)を作成した。

●新世代下水道支援事業制度により、せせらぎ用水、河川維持用水、雑用水、防火用水等の再生水の多元的な利用拡大に向けた取り組みを支援。

図4 雨水利用施設のイメージ(出典http://www.mlit.go.jp/common/001082129.pdf)

図4 雨水利用施設のイメージ (出典http://www.mlit.go.jp/common/ 001082129.pdf)

④コラムで雨水の利用の推進を掲載

●雨水の利用の推進に関する法律の施行(平成26年5月)。

●国及び独立行政法人等が建築物を整備する場合における自らの雨水の利用のための施設の設置に関する目標は、国及び独立行政法人等は最下階等で雨水の一時的な貯留に活用できる空間を有する新築建築物において、雨水利用施設の設置率を原則100%とすること。雨水利用施設のイメージは図4である。

●雨水利用・排水再利用設備計画基準が制定され、平成28年4月に適用を開始した。

2.平成28年版日本の水資源の現況

本書は前述しました様に、「日本の水資源」において取り纏められていたデータ等を平成27年から年次更新を行い、国交省水資源部より「日本の水資源の現況」として公表されたものです。雨水利用に関する記述の概要を以下に示します。

①水資源の有効利用における雨水・再生水利用

●雨水利用施設数:2,022施設(平成26年3月末現在)

●雨水利用量:平成26年度では約815万㎥で全国の水使用量の0.01%に相当

●関東臨海および東海で全国の54%を占める。用途はトイレ、散水が圧倒的に多い。

●雨水利用の事例として熊本地方合同庁舎A棟等がある。熊本地震では断水6日間生じたが、雨水を水洗トイレに利用でき緊急時用の代替水源の効果を発揮した。

●雨水利用の推進では、雨水法の成立、基本方針が定められている。多くの自治体でも基本方針に即した計画などが策定されつつある。

策定例⇒八王子市(H27.3)、京都府(H27.3)

②地方公共団体における雨水貯留・浸透ます等の補助制度の一覧

●雨水貯留槽、浸透ます、浸透トレンチ、透水性舗装等に関する地方公共団体の補助制度の内容を示した一覧表

●全国227の地方公共団体の平成25年度時点での補助制度の一覧表