雨水活用質問(Q & A)
- Q 雨水を溜めてどうするの?
- A 雨水を溜めて、打ち水、庭木への散水、洗車トイレの洗浄水など、様々な用途に節水の目的で利用します。また、溜めた雨水は非常時の水源としても有効に利用できます。公共施設等大型の建築に導入される例が多かったのですが、最近では家庭での導入例も増えています。
- Q 雨水活用って、どんな効果があるの?
- A 雨水活用には、大きく ①節水、②都市型洪水の抑制、③非常用水の確保という3つの効果が挙げられます。この他、雨水循環系の保全や二酸化炭素の排出抑制、ヒートアイランド現象の緩和などの効果もあります。
- Q 雨水活用と雨水利用はどう違うの?
- A 「雨水利用(Rainwater Utilization)」は、単に”雨水を利用する”という意味ですが、「雨水活用(Rainwater Harvesting)」は、雨水の貯留・利用・浸透・蒸発散すべてを含んだ広い意味で使用します。したがって、「雨水利用」は、「雨水活用」の中のひとつの行為ということになります。
- Q 雨水を利用したいけど、何が必要?
- A 雨水を利用するために必要なことは、以下の通りです。
① 雨を集める(集雨):家やカーポートの屋根などを利用し雨を集める
② 雨を導く:集めた雨を、樋やパイプ等を利用し任意の場所へ導く
③ 雨を取り出す(取水):導いてきた雨水を分岐させ、雨水タンク等へ流す
④ 雨を溜める(保雨):取水した雨を雨水タンク等で溜める
⑤ 雨を整える(整雨):取水時のろ過や雨水タンク内での沈殿によって、雨水の水質を整える市販の雨水タンクを購入し、雨水の利用を始める方がほとんどですが、ポリバケツなどを利用して、ご自分で雨水タンクや取水装置を工夫してみるのも面白いですよ。 - Q 屋根がない場合、どうやって雨を集めるの?
- A 畑やお庭など屋根の無い場所では、ネットを屋根代わりにして雨を集めたり、木や電柱に伝わって流れる雨を集める方法もあります。
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雨水集水簡易ネット「雨葉AMEHA」
- Q 取水装置ってなに?
- A 雨樋に流れる雨を分岐させ、雨水タンク等に導くための道具です。単純に雨水を導くだけのものから、初期雨水排除の機能やフィルターでゴミを除去できるものなど、幅広く商品化されています。
- Q 酸性雨とは?
- A 雨水は空気中の炭酸ガスを吸って、pH(ピ-エッチ:水素イオン濃度指数)は5.6程度になりますが、それよりも低い数値を示す雨を、「酸性雨」と呼びます。酸性雨は、大気中の窒素酸化物(NOX)や硫黄酸化物(SOX)を雨が取り込むことによって発生するとされています。そのため、降り始めの雨水は、特に酸性度が高いことが知られています。
- Q 雨水って汚くないの?
- A 雨水は、もともと自然の蒸留水で、本来”汚れているもの”ではありません。しかし、雨が降ってくる途中で、大気中の塵や埃、排気ガス等を取り込んで汚れてしまいます。また、雨を集めるための屋根や雨樋の汚れも原因のひとつとなっていますが、この汚れの原因は、私たちの生活の中から発生しているものがほとんどです。雨水活用を行う場合、その用途に応じた、整雨(初期雨水の排除や沈殿、ろ過といった処理を行って雨の水質を整えること)を行いましょう。
- Q 初期雨水ってなに?
- A 降り始めの雨を「初期雨水(しょきうすい)」といいます。「初期雨水」は、大気中の汚染物質よって酸性度が高く、屋根、雨樋の汚れを多く含んだ雨水です。その後、降雨時間の経過とともに、徐々に雨水はきれいになっていきます。雨水活用の際は、降り始めの1~2mm程度の雨水を排除し、その後の雨を溜めることが一般的です。
- Q 初期雨水の排除の方法は?
- A 様々な方法が考えられますが、オーソドックスな方法は、①少雨排除タイプ と ②分離排除タイプの2種類です。少雨排除タイプは、取水装置の雨水を受ける部分に小さな孔があけられており、一定以上の雨量にならないと取水できないものです(図1)。分離排除タイプは、降り始めからの雨を一定量溜め、それから溢れた分を取水するものです(図2)。
- Q 雨水って溜めておくと腐らない?
- A もともと、雨水でも池の水でも、”水(H2O)”そのものは腐りません。”水が腐る”とは、水中の有機物が栄養分となって細菌等による分解や腐敗が進み、異臭を放っているような状態をさしています。したがって、雨水に落ち葉などの有機物を出来る限り混入させない、光を遮断し藻を発生させないことができれば、”雨水が腐る”という現象は発生しません。ただ、様々な用途で雨水を利用しますので、”雨水が腐る”以前に使ってしまうことがほとんどです。
- Q 雨水には放射能の影響はないの?
- A 雨水タンクの水質調査から、雨水そのものには、ほぼ放射性物質は検出されないことが判りました。セシウムなどの放射性物質は、ほとんどの場合、大気中の粉じんや泥、土に付着し、タンク底部に沈殿しています。したがって、この沈殿物を巻き上げないように雨水を利用すれば、放射性物質の影響はありません。また、この沈殿物も定期的に清掃し、排除すれば大きな問題ありません。もし事前に、放射性物質混入の恐れが推測される場合は、雨水を溜めないようにしたり、通常より多く初期雨水を排除するなどの工夫が必要です。確かに、福島第一原発事故以降、雨水の流れが集中する箇所の放射線量が高いことが新聞等で報道されたためか、雨水を利用することは危険でないかと心配する人が増えているのは事実です。しかし、よく考えてみましょう、雨は大気中の放射性物質を洗い流し、綺麗にしてくれているのです。その結果、雨水が汚染されてしまったのであって、決して雨水が”悪者”ではないのです。
詳しくは、ココをクリック! - Q 雨の少ない時期はどうするの?
- A トイレや洗濯など常時使用する場合は、貯留した雨水が少なくなってきたら上水が補給されるように工夫しておくと便利です。その際、水道管と雨水給水管の直結(クロスコネクション)することは法律で禁止されていますので、注意が必要です。また、誤飲防止や水道管との誤接合防止のために、雨水の蛇口や給水管を青緑色に着色し、一目でわかるようにしておくとよいでしょう。
- Q 雨水タンクが凍結する心配は?
- A 凍結によるトラブルの多くは、雨水タンク内ではなく、配管や蛇口部分で発生します。そのため露出した配管や蛇口部分の保温に十分配慮する必要があります。なお、寒冷地域では、建物内に雨水タンクを設置する、もしくは、凍結期間は雨水の取水をやめ、タンクの水を抜いておくことをお勧めします。
- Q 維持管理は?
- A 特に難しい管理はありません。取水装置部分に溜まった落ち葉などのゴミやタンクの底に沈殿した土砂などを定期的に清掃してください。また、屋根や雨樋に溜まった塵埃や落ち葉を定期的に掃除すると、雨水の水質向上につながります。
- Q ボウフラ(蚊)の発生の心配は?
- A 雨水タンクには必ず蓋をし、通気部分や開口部、ドレン管、オ-バ-フロ-管などには防虫網などを取り付けることで、発生をある程度抑えることができます。しかし、ボウフラを全く発生させないようにすることはほぼ不可能といえます。銅板をタンク内に入れておくとボウフラが羽化することを妨げる効果がありますが、その反面、その水を鉢植え等狭い範囲に散水し続けると銅イオンの影響で植物が枯れてしまうこともあるので注意が必要です。いずれにせよ、定期的に雨水タンクの点検、清掃を行うことが一番の解決策です。
- Q 雨水を利用すると、下水道料金も節約できるって聞いたけど・・・?
- A 下水道料金は水道水の使用量から計算されますので、雨水を利用し、水道使用量が減れば下水道料金も少なくなるはず・・・と考えがちですが、これは間違った考え方ですので、ご注意を!下水道料金は、いわば汚水処理費用です。水道水でも井戸水でも雨水でも、汚水として排水すれば、すべてにその処理費用である、下水道使用料金の支払い義務が生じます。雨水をトイレや洗濯などに使用し、汚水として下水道に排水する場合は、事前に下水道管理者である自治体へ届出を行い、各々の自治体のルールに則って、下水道使用料金の支払い手続きが必要です。ただし、庭への散水や打ち水など下水に流さない用途での利用には、下水道料金を支払う必要はありません。詳しくは、お住まいの自治体へ相談してみましょう。
- Q 使わなくなった浄化槽を雨水タンクに再利用できる?
- A 利用可能です。浄化槽の汚泥等を除去し、内部を水洗い(場合によっては薬剤で消毒)します。その後、竪樋から雨水が流入するように加工すれば、充分利用できます。浄化槽の雨水タンクへの転用に助成金を出している自治体もあります。ただし、全ての浄化槽が転用できるとは限りませんので、まずは浄化槽設置業者に相談してみましょう。
- Q 雨水タンクの容量の目安は?
- A 用途により様々ですが、居住者1人当たり1トン(1000リットル)程度の貯留量を確保すると、幅広く利用できると言われています。有効に利用するには、いつもたくさん溜まっている方がいいのですが、そうなると流出抑制の効果が薄れてしまい、逆に流出抑制のためにいつもタンクを空っぽにしておくと利用ができません。雨水の貯留量の3分の1は利用し、3分の1は流出抑制のために常に空間であるようにし、3分の1は非常用に常に溜めておくとよいとされています。
- Q 雨水活用に助成金があるってほんと?
- A 雨水を貯留または浸透させる施設の設置に対し助成制度を実施している自治体は、全国で208(2011年 4月雨水貯留浸透技術協会調べ)あります。その中で、貯留施設(いわゆる雨水タンク)の設置に助成を行っている自治体は179あります。自治体の助成制度の内容は各自治体のホームページ等で確認できます。雨水活用を始める際には、是非チェックしてみるといいでしょう。