雨とみどりをまちに取り入れた「雨水小路」のアイデアスケッチ
「下町× 雨・みどりプロジェクト」は、都会のくらしの中に雨とみどりの循環をつくり出す取り組みです。開発が進んだ都市部では、雨が浸み込む地面が少なくなり、降る雨のおよそ半分が下水道に流れ込みます。
さらに近年、気候変動の影響から短時間に激しい雨が降る頻度が高くなる傾向にあり、下水道で引き受けきれない雨がまちに溢れて洪水になったり、汚水とともに川や海に流れ出て、水質汚濁の原因にもなっています。
こうした事態に対し、降る雨を一時的に蓄える「雨水タンク」、雨どいからの雨を植栽に導く「雨水プランター」や「レインガーデン」などのNbS(Nature-based Solutions= 自然を基盤にした解決策)と言われる手法が用いられはじめています。災害の解決策として期待されるだけでなく、都市部に豊かなみどりをもたらしてくれます。
このプロジェクトでは、これらを取り入れて、これまでも雨水活用の実践を重ねてきた東京都墨田区を拠点に、新たな取り組みを進めます。災害脆弱地域と言われる東京都墨田区で、地域防災や地域活性化イベントと連動する新たな「雨水活用のシンボルスポット」(小規模分散型雨水管理モデル)を創出していきます。地域に暮らす方々をはじめ、多くの関係機関と連携し、共に学びながら実践を重ね、同様のモデルを全国に普及するための足がかりとします。
雨を蓄え、みどりを育む一人ひとりの小さな積み重ねが、安全で心地よくくらせるまちづくりにつながります。あなたもぜひこのプロジェクトに参加しませんか?
災害脆弱地域と言われる墨田区京島地域は、長屋や路地の景観を残すまちでもあります。まちに溶け込む、複数の小さな「雨水活用とみどりの拠点」を市民の手でつくり、都市で取り組むNbS のモデルとします。
まちあるきやアンケートを通し、活動エリアでの雨水活用・緑化の現状を調査します。また、雨水を貯める新たな拠点を設け、下水道に流れ込む量を減らす(流出抑制)効果を検証し、雨水タンクや雨水プランターを防災・減災に活かすための「運用マ
ニュアル」をつくり、 行政に提言します。
S N S や広報物を用いたり、現地見学ツアー等企画・実施して、活動の意義を広く発信します。また雨水活用や水循環に関わるネットワークを通じ、連携して、全国に活動を紹介します。
開発が進んだ墨田区北部地域では、小規模なNbS の取り組みを集積することで下水道への雨水の流出を抑えることが重要です。みどりと組み合わせれば、まちの景観にも潤いをもたらすことが期待できます。みどり豊かな環境を育みながら、気候変動への適応をめざすこれからのライフスタイルです。
雨樋プランター:
屋根と下水道との間で雨を蓄えます
たて樋を下水道から切り離し、
ミニガーデンに雨を導きます
軒先やスキマにも雨が浸み込む
「レインガーデン」がつくれます
DIY 雨水タンク:
自ら作って設置、活用します
地域の「路地尊・天水尊」を活かし、
みどりを育みます
プロジェクトの拠点である東京都墨田区は、東京都東部の低地に位置し、周囲を河川や水路に囲まれています。1980 年前後には、急激な都市化で地面がコンクリートで覆われ、雨が浸み込みにくくなったことによる都市型洪水が頻発しました。その対策として、まちのあちこちで雨を蓄える雨水貯留の取り組みが始まりました。1995 年に設立された雨水市民の会は、行政と連携して雨水タンクの開発・普及などに取り組んできました。
様々な関係機関と連携・連動し、地域住民と共に活動します。