活動記録

雨のゆくえをデザインし、水とみどりのあるくらしを楽しもう!
「下町×雨・みどりプロジェクト」始動!

雨水市民の会 下町×雨・みどりプロジェクト担当

25年前のアイデアスケッチ「雨水小路」

25年前のアイデアスケッチ「雨水小路」

「下町×雨・みどりプロジェクト」は、都会の暮らしの中に雨とみどりの循環をつくる取り組みです。雨を蓄え、みどりを育む一人ひとりの小さな積み重ねが、安全で心地よくくらせるまちづくりにつながります。

開発が進んだ都市部では、雨が浸み込むことができる地面が少なくなり、降ってくる雨の多くが下水道*に流れ込んでいます。雨の降り方が変わり、短時間に激しい雨が降る頻度が高くなる傾向にありますが、下水道で引き受けきれない雨が街に溢れて洪水になったり、汚水とともに川や海に流れ出て、水質汚染をもたらします。その解決策として、雨水を一時的に蓄える雨水タンクや雨どいからの雨を植栽に導く雨水プランター、レインガーデンなどがあります。

東京都墨田区を拠点に活動するNPO法人雨水市民の会では、NbS(Nature-based Solutions=自然を基盤にした解決策)と呼ばれるこれらの手法を取り入れて、地域防災や地域活性化イベントと連動した雨水活用の新たなシンボルスポットを創出し、小規模分散型雨水管理モデルを全国に普及することを目的としています。

*下水道には汚水と雨水を一つの管で流す「合流式下水道」と別々に流す「分流式下水道」があります。東京23区は8割強が合流式で、墨田区は全地域が合流式です。

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【プロジェクトの柱】

1「雨水長屋&路地」モデルをつくります!

災害脆弱地域と言われる墨田区京島地域に、市民の手で小さな雨とみどりの拠点をつくり、都市で取り組むNbSのモデルとします。

2 雨水フィールドワーク&ワークショップでまちの可能性を考えます!

まちあるきやアンケートで、活動エリアでの雨水活用、緑化の現状を調べます。また、新たな拠点で雨水を貯めたり、下水道に流れ込む量を減らす(流出抑制)効果を調べ、雨水タンクや雨水プランターを防災・減災に活かす運用マニュアルをつくって、墨田区に提言します。

3 雨・みどり×まちづくりを発信します!

S N Sや広報物、ツアー等を企画・実施し、活動を広く発信する。また雨水や水循環に関わるネットワークを通して、全国に活動を紹介します。

すみだの"小さなNbS"として路地尊、雨樋プランター、雨水タンクなどが挙げられる。

すみだの”小さなNbS”として路地尊、雨樋プランター、雨水タンクなどが挙げられる。

背景とこれまでの取り組み

プロジェクトの拠点である東京都墨田区は、東京都東部の低地に位置し、周囲を河川や水路に囲まれています。墨田区における雨水活用の取り組みは30年以上の歴史があり、1995年に設立された雨水市民の会が行政と連携して取り組んできました。取り組みのきっかけは、急激な都市化により頻発する水害への対応であり、日本における地域主導型のNbSの初期事例として評価されています。

浸透しにくい地質であることから、雨水貯留を中心とした雨水タンクの開発・普及や、地域での貯水(「路地尊」「天水尊」)により、防災・減災に貢献しています。墨田区役所では助成金制度(1995年)、条例(2006年)を制定し、全国のモデルケースとなっています。また、1990年代以降に建設された公共施設に雨水利用を導入しています。

補助金制度の普及と条例による雨水利用施設の設置指導の結果、「路地尊」と呼ばれる地域共有の雨水タンク21基を含め、区内全域で731基、総容量25,510立方メートルの雨水タンクが設置されています(2021年3月末現在)。大雨のとき、これらのタンクをすべて空にすれば、墨田区全域の約2mm分の降雨を貯水することができます。しかし、関心のある住民の多くが既にタンクを設置しており、個人宅への雨水タンクの普及は伸び悩んでいます。条例に基づき集合住宅や商業ビルの地下に設置されたタンクは、目に見えず、一般には認識されていないことも多くあります。また、ポンプ場などがこの30年の間に整備され、大きな洪水被害が起きておらず、水害に対する人々の意識も低くなっています。

ここ数年の雨の降り方の変化や気候危機の宣言を踏まえ、いわばNbS先進地域として、地域の資産を生かした新たな開発が求められていると言えます。

「下町×雨・みどりプロジェクト」は、米国コカ・コーラ財団からの助成を受けて2022年にスタートしました。