活動記録

2014/2/15(土)  雨塾パート1 「雨水活用から考える”本当のエコ”」 

高橋朝子(Webあまみず編集委員)

2月14日から降り始めた雪は、北日本と関東甲信越地方の18地点で観測史上1位を更新しました。あいにくなことに、大雪で交通機関が大幅に乱れた2月15日が雨塾の日でした。講師である福井工業大学の笠井利浩准教授は、前日にすでに東京に来ていらっしゃって、会場のすみだ環境ふれあい館に来ることができましたが、講演の助手をするはずだった前川翔太さんは、夜行バスで当日の朝に到着の予定のところ、高速道路で足止めとなり、結局間に合わないハプニングがありました。

水道水1㎥を作るために排出する二酸化炭素の実際の重さ、250gを体感。

水道水1㎥を作るために排出する二酸化炭素の実際の重さ、250gを体感。

今回の雨塾は、東京ガス環境おうえん基金の助成を受けて行われました。講義は、笠井准教授が福井市内の小学校で実践している、緑のカーテンを使ったライフサイクルアセスメント思考に基づく環境教育の紹介です。緑のカーテンは高さ10m、幅18メm、厚み50~60cmの大変大きいもので、ゴーヤ、朝顔、ヘチマの3種の蔓です。その水の使用量は、最大1日600ℓ、年間50㎥の水を必要とします。

さて、そこで問題です。水やりは雨水タンクから行いますが、ホースでやる方法とジョウロでやる方法ではどちらがエコでしょうか。3ℓのジョウロは1個500円ですが、水やりに必要な長さのホースは5000円かかります。3EIDという商品の価格から生産時の二酸化炭素排出量が計算できる方法では、ジョウロとホースは同じプラスチックなので二酸化炭素排出量は百万円当たり4.19ということになります。この値を使ってそれぞれ生産時の二酸化炭素排出量を計算すると、各々500/1,000,000×4.19=0.0021t=2.1kg、5,000/1,000,000×4.19=0.021t=21kg  と明らかにジョウロのほうが有利です。しかし3ℓのジョウロでは1日600ℓの水を運ぶために200回往復しなければなりません。子どもたちはどのような選択をしたでしょうか。ジョウロで水やりをするのは大変で長続きしないから、ホースのほうが良いということになりました。必ずしも数値で測れないものがあることを、子どもたちがしっかり理解していたことに、笠井准教授のほうがかえって驚いたそうです。

もう1問。年間50㎥の水やりを雨水でする場合と水道水でする場合で、二酸化炭素の排出の違いは如何に。雨水は自然のものでエネルギーを加えなくてよいので、二酸化炭素排出は0ですが、水道水は排出します。東京都の水道料金は1㎥あたり186円で、水道水の二酸化炭素排出量は百万円当たり1.36tですから、50×186×1.36=12,648g=12.6㎏、雨水活用したときより12.6㎏も余計に二酸化炭素を排出しています。

エコ活動は一つの観点からみてはうまくいきません。我慢してエコするのも長続きしません。環境負荷が低いものでも使わないと無駄なエネルギーを使ってしまいます。本当のエコはできるだけエネルギーを使わないで、きっちりと長く使うことです。

講義を聞いて、マスコミなどに踊らされず、本当のエコを見極める感性が必要だと思いました。

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