活動記録

雨タスサロン⑤:雨+トイレ(2017.3.15)
山本耕平さんが語るトイレの話 第2弾

柴 早苗(雨水市民の会 理事)

昨年11月18日に開催した雨+トイレのおさらいをしつつ、今回は、世界のトイレ事情や災害時のトイレ問題などのお話でした。

日本の水洗化率は93.9%で、温水便座の普及率81.2%にもなっています。トイレに快適さを求める「きれい好きな日本人」は、どこまで邁進を続けるのでしょうか。また、水洗トイレは1回の流し水が今や3.8ℓまでになってきています。一般家庭では生活に使用する水の22%がトイレの流し水で、風呂の40%よりは少ないですが、炊事の17%、洗濯の15%より多くなっています。

「ピープープル(スウェーデン)1個3円のトイレがスラムの衛生を改善」(大木博巳 「ジェトロセンサー2011年7月号」より)https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/bop/precedents/pdf/2011-07jetro_sensor_peepoople.pdf

「ピープープル(スウェーデン)1個3円のトイレがスラムの衛生を改善」(大木博巳 「ジェトロセンサー2011年7月号」より)https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/bop/precedents/pdf/2011-07jetro_sensor_peepoople.pdf

しかし、世界では3人に1人はトイレを使えない状態です。2008年の統計でも17%は屋外で済ませているとのこと。印象に残ったのは、次の話でした。ケニア・ナイロビのキベラ地区には大規模なスラムがありますが、そこで住民が自分の排せつ物をビニール袋に入れて遠くに投げ捨る、それゆえに「フライング・トイレ」と呼ばれています。もちろん衛生上問題がありますが、そのような地域では、女性や子どもが野外で用をたすのは、レイプや暴行の危険が伴うという別の側面もあります。そこでスウェーデンのベンチャー企業ピープープルが、微生物で分解するバイオ・プラスチックで作られた袋(peepooバック)を開発しました。キベラ地区でピープーバッグを住民に3シリングで売り、使用済みバックが返却されると1シリング相当のレシート(3枚で新しいバッグ1枚が無料になる)を渡す、回収したバッグは肥料として農民に2シリングで売るという「うんち版デポジット」の仕組みを作り、住民に受け入れられたとのことです。

また、日本でも災害時のトイレ問題は深刻です。阪神淡路大震災では、仮設トイレが100人につき1基となったのは発災から2週間後で、それ以前は惨憺たる状況でトイレは使えないも同然でした。ちなみに70人につき1基になって初めてトイレの苦情がなくなったとか。現在は、携帯用トイレが色々と販売されています。3日分くらいは用意が必要でしょう。日本の太平洋側に大打撃を与えると言われている南海トラフ地震が起きると、生産地が被災し、トイレットペーパーの供給が途絶えることが懸念されます。トイレットペーパーの備蓄も1か月程度は必要です。避難所にもなる小中学校では洋式トイレの割合は約4割であり、足の不自由な方たちなどには不便でしょう。また、水洗トイレの排水がまともに流れるかどうかも不安です。下水道本管はほぼ大丈夫ですが、末端の枝管やまたその先の建物内の排水管が壊れる場合があるので、特にマンションでは要注意とのことです。

トイレの問題は尽きない課題です。

改めてトイレの大切さを実感した。

山本さん自身の段ボールトイレ制作場面も拝見。改めてトイレの大切さを実感した。

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