活動記録

2013/2/24(日)雨塾 報告 「雨水活用とエコ活動 ~雨水活用とエコ活動のライフサイクルアセスメント」

あまみず編集部

雨塾:2012年度「雨水活用とエコ活動 ~雨水活用とエコ活動のライフサイクルアセスメント」
実施日:2013年2月24日(日)
会場:すみだ環境ふれあい館
参加人数:28名
講師:笠井利浩(福井工業大学経営情報学科)

雨水活用では、降り始めの雨を除去することで水質をより良くすることができ、より多くの用途に使用できる。自家製の初期雨水除去装置を披露する笠井講師。

雨水活用では、降り始めの雨を除去することで水質をより良くすることができ、より多くの用途に使用できる。自家製の初期雨水除去装置を披露する笠井講師。

笠井講師は当会会員でもあり、日曜大工でご自宅の雨水タンクの設置もされています。講演では、大気中の汚染物質を含む初期雨水、雨水タンク内における放射性物質の挙動、雨水タンク内の水質を良くする工夫などについて分かり易く紹介していただきました。また、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment=LCA)の面からも、良質な雨水を集め、できるだけ多くの用途に利用することが大切であると説かれました。LCAとは、物の製造から使用、廃棄に至るまでの環境負荷を定量的に表し、環境への負荷を総合的に評価する手法で、講師が研究活動の中心に据えておられるテーマです。LCAの考え方、それに基づく雨水活用の分析はとても新鮮に感じられました。

笠井講師は、雨水活用や緑のカーテンを教材にしたライフサイクル思考に基づく新しい環境教育も実践されており、その教材の紹介もされていました。その教材を、墨田区で雨水活用した場合に置き換えると以下のようになります。「250リットルの中古タンクを利用して雨水タンクを設置して草花への散水に利用した場合、コスト面から考えると4、5年で元が取れ、CO2排出量の面から考えると、7、8年でようやく元が取れる計算になる。」LCAの手法を取り入れ、CO2排出量の面からプロセス全体を評価することで、“エコ活動”として取り組まれる活動が実際にどの程度の効果があるのかを検証でき、また裏側に隠れていた問題点を明らかにすることができます。雨水活用はこれまで、節水や水循環の視点からしか評価されてこなかったと思います。今回の講義で、エコ活動といえば何でもよいと思われがちな風潮の中、その本質の見極めが大切であることを実感しました。

分かりやすい講義内容で、受講者の中には子どもの姿も見られた。

分かりやすい講義内容で、
受講者の中には子どもの姿も見られた。

※講義の詳細は、別途WEBあまみずに掲載します。

〇講師=笠井利浩:
福井工業大学経営情報学科准教授。LCAを軸として雨水活用やライフサイクル思考に基づく新しい環境教育に関する研究を行っている。日本LCA学会、日本雨水資源化システム学会、日本建築学会等の学会に属し、雨水市民の会会員でもある。(2013年3月)
『あまみず58号(2012年4月発行)』の寄稿「福島原発事故による雨水タンクの放射能汚染調査」もご覧ください。


○レポーター=高橋朝子:
あまみず編集委員、雨水市民の会理事。広報委員長。

○雨塾:
雨水市民の会では、雨水活用や環境問題に関する講演会を専門家を招いて開催したり、現地見学会等を行って皆で共に考える機会を「雨塾」と称して活動しています。

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