活動記録

下水道展’17東京に出展!「市民科学」とは?

Webあまみず編集部

写真1 2017年8月1~4日に東京ビッグサイトで開催された下水道展’17東京に出展

写真1 2017年8月1~4日に東京ビッグサイトで開催された下水道展’17東京に出展

下水道展は、今年で30回目を迎えましたが、下水道事業の管理者である地方公共団体等を対象に、下水道関連企業や団体が技術開発の成果等を展示紹介するもので、公益社団法人  日本下水道協会が主催して毎年行っています。最近は、一般市民に対する下水道事業の理解を深める展示やイベントも同時に行っています。

雨水市民の会は、一昨年に続き、本年東京ビッグサイトで8月1~4日(火~金)行われた下水道展に出展しました。

今回は、下水道展と併催企画として8月1日に同会場で開催された水環境ひろばにも参加しました。テーマは「市民科学と下水道」。市民科学とは、故)高木仁三郎氏の「未来への希望に基づいて科学を方向づけ、持続可能な未来を築くための構想を提示し、人々の心に希望の種を播き、組織し、変革への流れを生むこと」と、理想高き市民を思い浮かべますが、「下水道」の冠がつくと少し違ってきます。国土交通省では「地域住民が地域の団体(NPO、学校の科学部・同好会)や行政などの協力を得ながら、下水道に関する調査研究活動に参画することにより、よりよい地域づくりに向けて様々な課題解決を目指す方法」(http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000332.html)と言ってます。そのガイドブックも作られています。

写真2 水環境ひろば「NPOセッション」で話題提供する当会の笹川みちるさん(2017年8月1日)

写真2 水環境ひろば「NPOセッション」で話題提供する当会の笹川みちるさん(2017年8月1日)

下水道は、人口の減少化や少子高齢社会などが進み、これまでの都市のインフラが担えなくなってくる時代が来ます。また、気象異変の影響から集中豪雨が頻発して、下水道や河川の治水対策だけでは安心できません。雨の貯留浸透利用をまちづくりとして取り組むことは、洪水を抑制する大きな要因となります。私たちの会がその普及啓発に取り組んでいることは、そのさきがけだったのでしょう。

話題提供者は、当会の笹川みちるさん他、3名で、当会の山本耕平理事長がコーディネーターをしました。戸田の川を考える会の大石昌男さんは「EMを科学する」と題して、行政も関わるEM菌を河川浄化にする運動に、かえって逆効果であることを実証を踏まえながら待ったをかけようとする経緯を話されました。荒川クリーンエイド・フォーラムの五十嵐実さんは「~川ごみは社会課題~STOP!川ごみ」について、川から海に流れていくプラスチックごみが増加の一途をたどっており、分解するとマイクロプラスチックや有機化学物質となって海の魚介類に取り込まれ、いずれは人間にも影響が出てくることになるので、プラスチックの使い方や回収方法などの見直しが必要であることを指摘されました。当会の笹川みちるさんは、「雨のゆくえが見えるまち・くらし~雨水市民の会の活動より~」と題して、雨をまち全体で貯め、浸透し、利用することで、流出抑制に役立てたり、飲み水以外の水道の代わりとする活動を広める雨水市民の会の活動を紹介しました。一般社団法人Water-nの奥田早希子さんは、「市民科学と連携」というテーマで、これまで行政と民間企業と地域組織がそれぞれの領域で社会課題の対応に努めてきたが、これからは三者がお互いに対等に責任感を持って連携していくことが重要であり、「市民科学の担い手」であるNGO,NPOや一般社団法人などがその橋渡し役であることを意識して活動をしていくことが必要になると指摘されました。

各々の活動について行政や研究機関とどのように付き合っていけばよいのか、各団体の取り組みの方向が違うだけに、議論の集約は難しく、実際の連携もまだまだ手探り状態と思われます。コーディネーターを務めた当会の山本耕平さんは終了後、「下水道や川、水の問題でいろいろなステークホルダーが協働していく前提として情報の共有が不可欠です。専門家と市民が協働して問題を科学的に明らかにし、客観的な情報を積み上げていくことが重要だと感じました。」と、感想を述べました。

« »