活動記録

雨水活用の普及に手応え-エコプロダクツ2013  当会ブースに2000人

小川幸正(株式会社大林組)、神谷博(日本建築学会雨水建築普及小委員会主査)

2013年12月12日(木)~14日(土)に東京ビッグサイトで開催された、エコプロダクツ2013。3日間で16万9千人の来場者があり、当会のブースにも2千人が訪れました。ブースに立ち寄られた方たちは様々でしたが、説明員たちは熱心に呼び込んだり説明したりして、多くの方たちに雨水活用をさらに知ってもらうことができたと感じました。

  • 雨水活用を全く知らない…「雨をためると蚊がわくんじゃない?」「レインスティックって雨の音がしてステキ!」
  • 雨水活用を深く知らないが、好奇心がある…「環境にどのような効果が期待できるの?」
  • マスコミからの知識がある…「ああ、墨田で盛んなんだよね」「国技館に取り入れたんだってね」
  • やってみたいと思っている…「手作り雨水タンクってどうやって作るの?」「作り方の資料ないの?」(レインキャッチ(樋に取り付けてホースでタンクに雨水を取り入れるグッズ)の購入まで漕ぎ付くケースも)

会員の方たちで説明員としてブースに立ってもらったお二人に記事を寄せていただきました。

☂ 小川幸正さん

13日に参加して、説明と他の展示を見てきました。日本最大級の環境展示会だけあって、半日ではほんの一部しか回れませんでした。私が持っているテーマは、「水」、「エネルギー」、「食糧」です。

「水」は、“雨水市民の会”の展示そのものです。本ブースに立ち寄られる方は、多くが雨水利用に関心を持っておられ、自宅で既に導入されていたり、これから始める方などです。自宅で庭散水用に使用している人からは、不要になった95ℓの容器を2つ連結して、蛇口を付けずに、容器のふたを開けて柄杓で雨水を採水すれば安価に雨水利用できると経験を話していました。また、日本気象協会の方が来られ、降雨に関する気象データを活用して都市洪水の防止対策などに活用するにはどうしたらよいか思案中で、下水道のコーナーで雨水市民の会を紹介されたとのこと。市民の会の知名度も上がってきているなと実感しました。

雨水活用に関して展示されていたのは、福井工業大学の笠井准教授研究室でした。雨水活用の環境教育の一つとして、福井市内の小学校で雨水タンクを設置して散水・掃除用水としての利用、ならびに校舎の壁を利用した緑のカーテンを小学生が参加して実施されています。緑のカーテンでは、幅18m、高さ10mのゴーヤ・ヘチマ・朝顔のツルを見事に伸ばしている写真が立派でした。また、雨水活用のライフサイクルコスト試算も行われ、その有効性を数値で示していました。

また、“こども下水道新聞”で東京スカイツリータウンの雨水利用を紹介していました。本エリアの浸水を防止するために、地下に2,635立方メートルもの雨水流出抑制槽があり、貯めた雨水を「東京ソラマチ」屋上等の植物に散水することや太陽光パネルの冷却水に使用しています。雨水の散水利用により植物用の散水の約35%が節約できているそうです。子供たちにも人気のあるスカイツリーに行った時に、ここに降った雨水が散水や冷却水に利用されていることを思い出してくれればと思います。

「エネルギー」に関しては、再生可能エネルギーとして太陽光、バイオマス等の展示がありました。木質バイオマスの利用では、地域の森づくりや木材利用、木質ペレットなどの燃料利用などの展示が、自治体、企業、NPOグループでありました。また、最近にわかに話題になりつつある“水素社会”の展示もありました。都市ガスからの水素製造と燃料電池発電・熱利用、水素ガスを燃料にした燃料電池車の紹介がありました。2015年度の燃料電池車の販売も予定されており、排ガスや温暖化ガスの出ない車両は未来の姿かもしれません。

「食糧」は時間がなく、ほとんど立ち寄れる時間がなくて残念でした。本展示会は、小中高学校生が多く来場し環境教育には絶好の機会です。しかし、私自身あまりエコに思えないものも出展され、何が本当にエコなのかは、再度自分なりに考える必要があると思いました。

☂ 神谷 博さん

エコプロダクツ展には毎年のように来ていましたが、出展者としての参加は初めてでした。とにかく行けば色々な知り合いと会うことができ、音信の途絶えていたような人にも会えるのでなかなか良い機会です。雨水のブースにたどり着くまでに何人も知り合いに会ってたっぷり時間がかかってしまいました。

私は3日目の14日土曜日に説明員をしました。やや人通りが少なく、待っていても人が寄り付くわけではないので、レインスティックの音で興味を惹きつけながら声をかけました。自分からやってくる人は既に雨水に関心のある人ですが、関心がなさそうな人でも声をかけてみると案外と雨水に興味を持っていることがわかりました。雨水に関心を持って個人的に工夫している人も多いようで、皆さん悩みも抱えているようでした。市民の会のメンバーは、皆経験豊富ですので、相談会のようなやり方もあるのかもしれません。出展の方法を決める際には立ち会えませんでしたので、どんなブースなのかと思っていましたが、狭いながらにいろいろと工夫されていてよかったのではないかと思います。資料も結構はけてしまいました。長時間立ちっぱなし、話しっぱなしで、のども渇き足もきつかったのですが、長時間にわたって会員同士で働く機会も少ないのでこれもよかったのではないかと思います。

片付けの後のお疲れさん会では、また来年もやりたいね、という話になりました。雨水関連の人たちが集まればもう少し広いブースになりますので、連携の作戦を立てて準備しようという話もありました。次は今回の経験を活かして更に進化したブースにしたいものです。

(左)樋口裕一さん(スミカ造形美術)が制作した雨水活用モニュメント「雨水基地」は、遠くからも目立ち、興味津々で当会のブースを訪れた人も多い。レインスティックは、子どもたちに大人気。雨の音にびっくりする子もいた。 (右)雨水活用に興味を示す訪問者を相手に、熱心に説明する神谷博さん。

(左)樋口裕一さん(スミカ造形美術)が制作した雨水活用モニュメント「雨水基地」は、遠くからも目立ち、興味津々で当会のブースを訪れた人も多い。レインスティックは、子どもたちに大人気。雨の音にびっくりする子もいた。
(右)雨水活用に興味を示す訪問者を相手に、熱心に説明する神谷博さん。

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