下町×雨・みどり

雨水と防災〜中高生向けのスタディツアーを実施

下町×雨・みどりプロジェクト担当

2025年もあとわずかとなりましたが、今年は株式会社リディラバのスタディツアーに協力する形で、全国の中高生向けに雨水と防災をテーマに4月から12月12日時点で12回実施し、残り2回となりました。その様子をお知らせします。

流せば洪水、ためれば資源。すみだの雨水活用について広島県の公立高校生たちに説明(2025/10/7)

約2時間の中で、前半は講義です。墨田区では1980年代に両国や錦糸町の繁華街で、大雨で下水道が溢れる都市型水害が頻発しました。ちょうど国技館が両国に移転することになり、洪水防止と水資源の有効活用のために雨水利用を区から相撲協会にお願いして実現しました。墨田区は区施設に積極的に雨水利用する一方、1995年から雨水タンクの設置にあたり助成金交付をする制度ができました。また、条例により一定規模以上の新設の建物には雨水利用を義務付けました。こうして現在、墨田区にはおおよそ800箇所、総容量にして27,000㎥の雨水タンクが設置されました。

ここまでは墨田区のローカルな話ですが、これからは受講している中高生の生徒さんたちにとってはとてもリアルな話となります。現在、大雨が降る日が増え、逆に雨が降る日は少なくなる傾向があり、これからもその傾向が続くと予想されています。日本中どこでも洪水(山間では土砂崩れなども)が起きる可能性があります。特に古くから下水道が普及しているまち中では、汚水と雨水が一本の管で下水処理場まで送られる「合流式下水道」が多く、溢れると汚水混じりの水がまちを覆うことになり、非常に不衛生です。溢れなくても、下水処理場まで行かずに途中のポンプ所で放流されて、川や海が汚れてしまいます。

自治体では、河川の改修や地下に大きな貯留槽をつくるなどの対策を講じていますが、その工事は長期間かかり、費用も大変嵩みます。そこで市民も自分でできることをやってみようと、当会は下町×雨・みどりプロジェクトとして設置した小規模なプラントで効果を検証しています。庭がある場合は、雨が浸み込みやすい「雨庭」や雨樋が集まるますを「浸透ます」とする方法があります。しかし、墨田区では低い土地で浸透しにくい土地が多く、当会では雨水を貯留して下水道へ直ぐに流れない仕組みを考えています。ためて利用できる雨水タンクが置けるスペースがあれば良いのですが、スペースが少なくても雨水を浸透させる、一時貯留する方法でも良いです。小さな取り組みでも、その雨水で緑も育て、楽んでできるところからやり始められるようにしたいと考えています。

後半はすみだのまち歩きです。ゼロメートル地帯にあるまちを歩いて、地形を感じたり、路地の一画にある「路地尊*」から雨水を汲んだり、ビルの雨水タンクを見学したりして体験します。

*路地尊:災害時には避難路にもなる路地を大切にしながら、自分たちの手で街を守ろうとする住民たちが名付けました。誰でも利用でき、停電時にも使えるように手押しポンプで汲み出せます。

最後に質問を受けます。実際に洪水に遭ったことがない生徒さんたちは、大雨がどのような被害をもたらすのか、実感がないことが多いです。せめて、学校や自宅の地形を調べて大雨が降った時にどのようになるのか、自治体が作るハザードマップなどを参考に考えてみることをアドバイスしています。

左)すみだ生涯学習センターの雨水タンクを見学する福岡県の公立高校の生徒さんたち(2025/10/30)
右)京島地域の路地尊で実際にポンプで雨水を汲み上げる大阪市内の私立高校生(2025/9/30)