下町×雨・みどり

雨水市民の会事務所前に雨とみどりのミニスポットが完成!

下町×雨・みどりプロジェクト担当

第1章 小さなNbSのアイデアを考えた(2022年6月11日,7月30日)

「まち」と「水」を知る連続WS第3回』で、千葉大の木下剛准教授(大学院園芸学研究院ランドスケープ・経済学)に「NbSって何?グリーンインフラはもう古い?」と題する講義をしていただき、その後、雨水市民の会の事務所前につくる小さなNbSのアイデアを出すワークショップを行いました。3つの班から図のようなアイデアが出されました。

第4回のワークショップでは、実際に事務所前に集まり、どんなことが実現できるかを考えました。

ワークショップでアイデア出し(2022年6月11日実施・一寺言問集会所にて)

第2章 アイデアから設計、工事着工 天水桶の”再利用”に悪戦苦闘!(2023年3月21日)

重い鋳鉄製の天水桶をうんこらしょ!

練った案をもとに、松本正毅理事を中心に設計し、地元の北條工務店(北條元康さん)が全体の施工を請け負い、”工房 陶水”で雨水を使った庭づくりを施工している麓(ふもと)雄二会員のコーディネートで天水桶の上には専門の作家に水車をつくっていただくことになり、3月21日に工事が始まりました。
しかし、一つ難題がありました。2015年に里帰りした江戸時代末期に造られた鋳鉄製の100kg以上ありそうな天水桶の移動です。会員他多方面への声がけによって、当日は、7、8人の方々が集まってくださいました。

これまで使っていた樹脂製の100リットルの雨水タンクは、雨水で洗ってきれいにしました。問題の天水桶の方は男性陣が5、6人係りで少しずつ動かしました。天水桶の内外に亀裂が見つかったり、内部のモルタルが剝がれてきたり、ハプニングで四苦八苦。パテで内側の亀裂を塞ぎ、防水スプレーをモルタル内部に吹きかけました。

一方、北條工務店の職人さんたちは、黙々と作業し、支柱や部材をトンカントンカンと打って棚状のプランタータワーなど木工の全体を仕上げ、東側面にはめ込みました。その日の作業は16時に完了。

その後も作業は続き、後日、北條さんと松本理事が雨水で水車を回す工事と天水桶の防水塗装(スプレーでは足らなかった!)をしました。

第3章 雨水の流れ・ふろしきプランター・雨花壇をワークショップでつくる!(2023年5月28日)

雨水市民の会事務所と近くの寺島集会所でワークショップを行いました。まず、千葉大の霜田亮祐准教授(大学院園芸研究院ランドスケープ・経済学講座  風景計画学研究グループ)から、墨田区のような都市部で小さなみどりを増やす工夫や意義、実際に行っている屋上緑化の取り組み等を紹介いただき、今日植える植物とふろしきプランターのつくり方についても解説いただきました。後半は、研究室の学生のみなさんのサポートで、古布を使ったふろしきプランターづくりとそこに植物を植えつける作業を行いました。

出来上がったふろしきプランターは、事務所の前のプランタータワーのボックスに置きました。また、道路に近い一角は、雨花壇として整備し、在来植物の苗を植えました。

左)雨花壇に苗を植え込む 中)ふろしきプランターに現地調達の植物を移植 右)事務所前ミニスポット完成!

ふろしきプランター

75cm角の布を2つのパーツにカットして、型を包み込んで結ぶ方法で外形をつくります。型を抜いて、土を入れ、植物を植え込みます。底板を入れておくと安定します。布で持ち手をつくっているので、持ち運んだり、ハンギングすることもできます。今回は、事務所脇の隙間からオニヤブソテツ、シダ、ノシランなどを移植しました。

雨花壇

レンガの枠の内側に、不織布を敷き込んで土が流れ出ないようにし、下部に軽石を入れてから土を入れました。軽石の隙間に水が蓄えられ、花壇の保水力が高まります。降りかかる雨だけではなく、雨水タンクやプランタータワーからのオーバーフローも受け止める役割があります。今回は、在来種の多年草であるカントウヨメナ、キキョウ、カワラナデシコ、ホタルブクロ、ミソハギの苗を植えました。

雨水の流れ

雨水は雨樋から上部の竹囲の奥にある雨水タンクに貯水され、オーバーフロー水はプランタータワーの柱の背後を流れて、砂利敷きの庭に流れ込み、軒先の雨花壇の土を潤します。

プランタータワーには、タイマーで鋳鉄の天水桶の水を定期的に給水します。ボックスの底面から一定の水位に達すると、上から下へと順々に伝っていく仕組みで、最後に溢れた分は先ほどと同じように砂利庭から雨花壇へと入ります。

天水桶の雨水は、水やりで汲み出して一定の位置まで水位が下がると、タンクの蛇口から水車を回しながら水が供給される仕組みになっています。また商店街のイベントの時などに、天水桶とタンクの水をポンプで循環させると、ずっと水車を動かすことも可能です。

右側の雨どいには小規模の貯留タンク「天水尊」、左側にはこの雨とみどりのミニスポットができ上がり、雨を有効活用しながら目にも耳にも楽しい事務所になりました。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

ご参加、ご協力くださいましたみなさま、ありがとうございました!

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