2013.07.02
D.I.Y初期雨水カット装置づくりにトライ
谷口 淳一(国立市水の懇談会/雨タン友の会)
はじめに
2012年4月発行の「あまみず」58号にも報告がありますが、国立市では、株式会社ヤクルト本社中央研究所と株式会社ヤクルトマテリアル富士裾野工場の協力を得て、同社が食品原料を輸送した後の空容器を雨水タンクの素材として無償で配付しています*1。
2006年から現在までに200個あまりの容器が配付され、雨水利用入門としての役割を果たしていますが、蛇口の取り付けや雨樋との接続などは原則としてD.I.Yということもあって、初期雨水を取り除くところまでは至っていないケースがほとんどです。
一方、”Webあまみず”の福井工大・笠井利浩氏の記事(2013年4月20日更新)に、降り始めから一定量の雨水をタンクに入れないようにすればタンク内の水質を大幅に上げられることを読み、今回、塩ビパイプを使って初期雨水カットの工夫をしてみたのでその報告です。
初期雨水カット装置工作の実際
今回は初期雨水カットの工夫をしたのは、国立市内にある有機体験農園の納屋の屋根から集水している雨水タンクで、屋根から直接雨水が流れ込むようになっていました。屋根の大きさは、間口1.9m×奥行1.5mなので集水面積は2.85㎡。カットする雨水の量は、降り始めからの2~3mm分なので、2.85×2~3、概ね5.7~8.5ℓ。
上記笠井先生の記事を参考に、近所のホームセンターに塩ビパイプを買いに出かけました。留意点は(1)特殊な部品をできるだけ使わず(ホームセンターなどの店頭にあるものを使い)、かつ、(2)買ってきた部品はできるだけ無駄なく使い切ること。
計算したところ、65㎜の塩ビ管2mに溜まる水量がほぼ8ℓ。このほか購入したのは屋根からの雨水をタンクに導く塩ビ管(40㎜)とエルボ、初期雨水を貯める部分の蓋になる木のボールなどで、費用は約2,000円でした(写真1)。
塩ビパイプを寸法に合わせて切ったものを仮組みしてみたのが写真2で、下側のL字部分で初期雨水をキャッチします。ここが満水になり、木のボールで蓋をされると屋根からの雨水がタンクに流れるという仕組みです。なお、L字部分末端のキャップには小さな穴が開けてあり、雨がやむと自動的に溜まった初期雨水が排出されます。また、L字部分のエルボに鉢底網を丸くカットして仕込み、木のボールがL字の横のパイプに行ってしまわないよう工夫しました。
しかし、この木のボール、水がしみこむと浮力が小さくなってしまったり、カビが生えたりすることがあることも判明。急遽、ゴムボールに交換することになりました(写真3)
実際に設置した様子が写真4。タンクに入る雨水が見えるよう、ペットボトルを加工した漏斗をタンクにはめてみました。なお、ペットボトル漏斗と塩ビ管の隙間はできるだけ小さくして、異物がタンクに入らないよう配慮すると良いとのこと。今回は500mLの炭酸飲料のものを使ってあります。
タンクの中の様子については今後継続的にチェックしていく予定です。
おわりに
このような、ちょっとした工夫で初期雨水をカットできるので、雨タンのユーザーにもPRしていこうと考えているところです。なお、今回の原稿をまとめるに当たり、福井工大笠井先生から有益なアドバイスを頂きました。どうもありがとうございました。
*1:http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/sumai/005145.html
雨タン友の会:http://www.flickr.com/photos/kunitachi_ametans/