2014.09.17
手作り雨水活用術~その1 蛇口~
安藤 勝治 (理事)
手作りの雨水活用をするうえで、原理がわかっているからこそ、各部品の選択や加工のアレンジができます。その技術的なコツや知識についてシリーズで掲載していきます。
今回は雨水タンクに付ける蛇口についてです。水道の場合は水圧が一定に保たれているので、蛇口からは一定の水圧で水が出ます。しかし、雨水タンクに直接付けた蛇口から出る水は、タンク内部の水圧に左右されます。つまり、水位が高いときは水圧が高く、よく出ますが、水位が低いと水圧も低くなり、内部に水があるのにちょろちょろとしか出なくなります。
蛇口の内部構造の違いからも水の出方が変わってきます。雨水タンクによく使われる蛇口は、①固定コマ式、②可動コマ式、③ボールバルブ式の3種類(下図)がありますが、比較的お勧めできるのは固定コマ方式のものです。
可動コマ式は、普通の水道の蛇口に良く使われています。内部の水圧で開くようになっているため、水圧が下がるとコマの重さで水の出口がふさがれてしまいます。つまり雨水タンク内部の水位が低くなると水圧が下がり、水の出が悪くなります。
ボールバルブ式は、内部ボールが回転してボールの中心に穴が開いており、そこを通って水が出てきます。しかし、雨水タンクの底部にたまる堆積物を出すときに、ボールの周りに砂が着きやすく、このような状態でレバーを回転させると「砂をかむ」現象が起き、レバーが動かなくなってしまいます。こうなるとレバーを交換することになります。
固定コマ式は、回転シャフトにコマが固定されているので、内部の水圧に関係なく開くため、可動コマ式のように水の出口をふさぐことがありません。また、ボールバルブ式のように故障することはありません。
参考に各種類の蛇口のメリット・デメリットを表にまとめました。また、コマ(バルブ)の構造などの詳細は、業者のホームページなどにわかりやすく掲載されているものもあります(例:http://www.kitz.co.jp/kiso/type_ballvalve.html)。
次回は「その2 雨どいの形」についてです。