2019.12.14
サバイバル飲み水(1)・雨水
雨水市民の会・水質調査プロジェクトチーム
2019年12月5〜7日(木〜土)に、東京ビッグサイトで”エコプロ2019″が開催されました。雨水市民の会では風情あふれる「雨庭」の提案と「サバイバル飲み水は作れるよ!」という提案を展示しました。今回は、サバイバル飲み水のことを取材しました。
これは、雨水市民の会の雨水の水質調査プロジェクトチームで雨水の細菌問題に取り組んでいる柴早苗さん、髙橋朝子さん、人見達雄さんが企画しました。
頻発している災害。いざ災害になって水道水が使えず、ガスも電気も使えない時、飲み水がなくなったらあなたはどうしますか?雨水は飲み水にできるか、当会には「大気汚染の汚れや細菌が入り込まないの?」と問い合わせが寄せられており、2015年7月〜2016年9月に首都圏を中心に屋根から集めた雨水タンクの水の水質調査を行いました。その結果、屋根材の劣化による影響が見られる事例がありましたが、酸性雨や大気汚染の影響のレベルは低く、問題がありませんでした。
しかし、自然界にいる細菌は取り除けません。塩素剤を入れれば良いではないか?と思う人もいるでしょう。塩素剤は保管時の気温や期間によって濃度が低下してしまいます。また、濃度が薄いと効果がない、濃いと塩素臭くて飲めず、適切な濃度に調節するのは、災害時には困難です。当会では病気を引き起こす細菌がいないとは言い切れず、沸かして飲むことを勧めていましたが、災害時にはガスも止まってしまうことも考えられ、現実的ではありません。
雨水を加熱せずに飲めるようにならないか?理論的には中空糸膜という膜ろ過で取り除けます。今回、レジ袋と中空糸膜をつなげたろ過器(*1)を自作し、その実証ができました。ろ過方法の詳細はサバイバル飲み水(2)で説明します。
電気伝導率がA宅で4.4μS/cm、B宅で28.9μS/cmと、降った雨そのもののような値でしたが、両方とも大腸菌が検出されました。しかし、中空糸膜ろ過は一般細菌、大腸菌共に完全に取り除けていました。一般細菌が大変少ないので、ここでの大腸菌は、糞便性由来ではなく、自然環境由来の別の細菌と考えられます(表1、図1)。
雨水は無処理でもちょっとした工夫で飲めるものが多いのです。今回の実験で十分飲めることが分かりました。
*1 中空糸膜ろ過:手提げ付きレジ袋にポット型浄水器のカートリッジ(三菱ケミカル・クリンスイ製CPC5W-NW)を絶対に水漏れしないように取り付けたものを自作。このカートリッジは精密ろ過の中空糸膜で、無加圧、自然流下でろ過速度が早く、長期間の耐久性が認められたので使用した。この実験は、災害時を想定しており、この製品の機能を応用しているもので、メーカーの製造者責任の範疇外の使い方をしている。
Webあまみず:「サバイバル飲み水(2)・風呂の残り水」