ネットワーク

雨水ネットワーク会議全国大会2013inとうほくを終えて 東北での雨水活用普及拡大に向かって、いぐすっぺ!!

雨水ネットワーク会議全国大会inとうほく実行委員会事務局長 石川 治

 

雨水ネットワーク会議全国大会inとうほくの始まりに当たり、実行委員長江成敬次郎氏(東北工業大学環境エネルギー学科教授)があいさつ。(2013/08/24・東北工業大学八木山キャンパスにて)

雨水ネットワーク会議全国大会inとうほくの始まりに当たり、実行委員長江成敬次郎氏(東北工業大学環境エネルギー学科教授)があいさつ。(2013/08/24・東北工業大学八木山キャンパスにて)

「雨から学び、雨水を活かして、つなげよう復興へ・未来へ」をテーマとして、2013年8月24・25日、杜の都・仙台で開催された「第6回 雨水ネットワーク会議全国大会2013inとうほく」には、仙台市周辺の方々をはじめ、全国の雨水活用に関与されている方、様々な市民活動を通じて雨水に感心を持たれた方等全国から多くの皆さんにお集まり頂きました。同会議は今回で6回目。白河の関を越え、みちのく・東北での初の開催となりました。3・11東日本大震災の余波の静まらぬ環境下での開催とあって、お引き受けしたものの少しばかり不安のスタートでしたが、後援、協賛団体をはじめ、数多くの関係者の皆様のご協力を得て2日間のイベントを無事終えることが出来ました。実行委員会を代表し、厚く御礼申し上げます。NHKの気象キャスターとして有名な倉嶋厚さんが「明日は天気が悪く、雨が降ります」と予報したところ、農家の方に「恵みの雨が降る日を悪い天気とは何事か!」とお叱りを受けたと何かの本で書かれていましたが、雨を何となく悪者・邪魔者扱いにしている風潮が私たちの中にあるのではないでしょうか。(最近は異常気象のためのゲリラ豪雨も加わりより一層・・・)

エクスカーションで仙台市若林区荒浜を訪れ、東日本大震災慰霊碑に献花(2013/08/25)

エクスカーションで仙台市若林区荒浜を訪れ、東日本大震災慰霊碑に献花(2013/08/25)

そんな雨と私たちは日常生活の中で、いかに付き合えるのか、いや、付き合わなければいけないかを、過去と現在に問い掛け、これからの生活環境づくりに活かし、また被災地に於いては、貴重な資源である雨を、いかに復興に活かすことができるかが、今回の大会の大きなテーマであったと言えます。大会は、仙台の水文化として、仙台藩祖伊達正宗の街づくりの基礎となった「四ツ谷用水」を取り上げ、続いて「先人の水との付き合い方」「仙台天水桶が育んだもの」「震災からの復興」そして「暮らし豊かに、雨水を活かして」という「まなぶ」「はぐぐむ」「まもる」「つくりだす」をキーワードとした4つのセッションが行われ、それぞれのテーマに沿った13もの事例を紹介し、意見交換が行われました。

 

エクスカーションで仙台市宮城野区にある南蒲生浄化センターのセンター長から説明を受ける。この浄化センターは市内の汚水の約7割を処理しているが、震災による津波で甚大な被害を受けた。汚水を極力生放流しないため、簡易処理による劣悪な環境下(強烈な臭気)でありながら、職員たちは粉骨砕身の働きをしたそうだ。2015年度末までに復旧を目指している。2013/08/25)

エクスカーションで仙台市宮城野区にある南蒲生浄化センターのセンター長から説明を受ける。この浄化センターは市内の汚水の約7割を処理しているが、震災による津波で甚大な被害を受けた。汚水を極力生放流しないため、簡易処理による劣悪な環境下(強烈な臭気)でありながら、職員たちは粉骨砕身の働きをしたそうだ。2015年度末までに復旧を目指している。2013/08/25)

東北の地において、日頃の生活空間であまり意識されず、逆に“邪魔者”扱いされているのではと思われた「雨水」と、こんなにも多彩な付き合い方をしてきたということに、参加者が驚き、感嘆されていることに触れ、“東北で大会を開催してよかった”と強く感じました。そして最終セッションでは、各セッションごとに、様々な角度から大会宣言の骨子となるキーワードが多く発表されました。

「温故知新」「新しい価値」「水の見える化」「恵みと脅威」「安心安全な地域」「素敵な教材」「ロハス」「備え」「防災機能」「省エネ」等々、中には仙台の方言?的な『いぐすっぺ』(参加しよう)も・・・・

大会終了後、これらのキーワードを基として

①先人たちのかかわりを学び、これからの暮らしや街づくり、地球環境の共生などについて考えていこう。

②年齢、各分野を横断し一緒になって「雨の多面的価値」「新しく発見した価値」を活かし共通した街づくりの目標像を探し、これからの街を育んでいこう。

③目標達成のための「仕掛け」「仕組み」それを担う「物づくり」「人づくり」を進めていこう。

の三つの内容を柱とした大会宣言を創り上げることが出来ました。

大会二日目は、事例発表の現場を是非見てみよう!という思いで企画されたエクスカーションにも多数の方の参加を得、各見学先とも予定時間をオーバーする熱心な内容にて終始しました。途中、大震災にて壊滅した集落で慰霊塔にて献花し、みんなでお祈りも致しました。

この様に予想を上回る参加者と多彩な内容、参加者皆さんのご協力によって成功裡に終始した「第6回 雨水ネットワーク全国会議全国大会2013inとうほく」は大会宣言を発表して終了ではなく、やっと皆様のお蔭で雨水関連活動のスタートラインに立たせて頂いたと自覚しております。大会宣言の実現に加え、今大会で多くの方の共感を得た東北での「雨水活用」の事例掘り起し、そして啓発事業等の活動を続けていくために、今回の実行委員会メンバー中心に、新たな活動拠点「雨水ネットワークとうほく」を立ち上げることを当面の目標としたいと思っています

そしてすでに2015年3月14~18日仙台にて開催される「第3回国連防災世界会議」へ参加し、東北から全国へ、また世界へと雨水のネットワークを拡げ、大会宣言実現の足掛りとできなか?等々検討し、活動を始めております。今後の「雨水ネットワークとうほく」の活動に、是非ご注目ください。

2014年の福井大会で、多くの皆様にお逢い出来るのを楽しみにしています。また、私たちの活動の進展を報告できるよう頑張っていきたいと思います。

石川 治さん:鳥取県出身。総合重機械メーカーに就職、主として営業職で全国各地区にて勤務、退職後は仙台市にて第二の人生をスタートし現在に至っている。現役時代環境施設(下水処理・ごみ処理)の営業を担当したこともあり環境関連に興味があり環境活動に従事。現在は、仙台リバーズネット・梅田川の代表並びにProjctWILD&WETの上級指導者、国営みちのく湖畔公園自然解説員等を務める。

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