2024.12.18
(1) 雨を活かして未来へつなごう。
〜”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”に2200人が集まった
雨水ネットワーク全国大会 in すみだ実行委員会
”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”報告 (その1)
1994年8月に日本で初めて雨水利用をテーマとした国際会議が東京都墨田区で開かれました。その実行委員会が母体となって発足したのが、「雨水利用を進める市民の会」、現在の「雨水市民の会」です。
30年を経た2024年8月3日(土)・4日(日)、”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”がすみだリバーサイドホール及び墨田区役所で開催されました。テーマは『雨を活かして未来へつなごう。』。すみだで雨水活用が始まり30年、地球規模の急激な気候変動、豪雨の頻発、干ばつなどに直面し、雨の降り方が極端化する現在だからこそ、私たちのくらしと雨の関係を見つめ直し、産官学民みんなでこれからの30年とさらなる未来を考える契機としたいという意図です。
また、8月1日(木)〜8月4日(日)には、区民の皆さんにも雨に親しんでもらいたい、当大会を広く伝えるため、同じくすみだリバーサイドホールのアトリウム、ギャラリー、ミニシアター、会議室及びうるおい広場で「あまみずフェスティバル」を開催しました。暑い最中の大会でしたが、のべ4日間で2210人が訪れました。
実行委員会と墨田区が主催し、前者は雨水市民の会及び寺島・玉ノ井まちづくり協議会、大学関係者等を中心に構成し、後者の墨田区は大会会長に山本亨墨田区長、資源環境部環境政策課が区役所の事務局を担いました。2024年1月の実行委員会立ち上げから、終了後の報告書作成や会計監査まで約1年間にわたって活動を続けました。
すでに概要報告書を2024年10月に発行しましたが、その詳細版を広く伝えるため、あまみずフェスティバルを含め、Web版として11回に分けて報告します。
開会式
2024年8月3日(土)、すみだリバーサイドホールに人々が続々集まってきました。”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”のオープニングには、雨水市民の会が制作の動画「流せば洪水、ためれば資源。」を上映し、まず、大会会長の山本 亨墨田区長が挨拶に立ちました。「墨田区は荒川、隅田川、運河などに囲まれたゼロメートル地帯で、水害が多かったことから、全国に先駆けて雨水を一時貯留して利用する取り組みをしています。現在は800箇所、約2万7千トンの雨水貯留が可能となっています。近年、豪雨による水害が頻発していますが、このような取り組みはより重要性が増しています」と語りました。
続いて斎藤博之国土交通省水資源部長の挨拶があり、雨水市民の会理事長を務める山本耕平実行委員長は、「30年前の『雨水利用東京国際会議』で議論された気候変動や飲用水の確保、世界の水危機などの問題がますます深刻になり、水循環基本法、雨水利用推進法、グリーンインフラ、流域治水などの取り組みが進んでいますが、この大会を梃子にさらに進めていきたい」と語りました。
引き続き、セッション1が始まりました。その報告は次回に続ます。
目 次
(1) 雨を活かして、未来へつなごう。〜”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”に2200人が集まった(本ページ)
”第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだ”報告の概要、開会式
(2) すみだの雨水〜過去から学び、Next Stageへ〜(セッションⅠ)
講演「あまみずイノベーションを未来につなぐ」村瀬 誠(元墨田区職員、天水研究所)
ディスカッション コーディネーター:菜原 航(墨田区環境政策課長)
登壇者:村瀬 誠、佐原滋元(一寺言問を防災のまちにする会)、岩下弘之(墨田区資源環境部長)、木下 剛(千葉大学大学院園芸学研究院)、高橋朝子(雨水市民の会)
(3) 雨とネイチャーポジティブ〜雨水を活用した都市緑化の可能性ー立体的緑地と平面的緑地による生物多様性の回復(セッションⅡ-1)
コーディネーター:霜田亮祐(千葉大学大学院園芸学研究院)
話題提供:牛久光次(寺島・玉ノ井まちづくり協議会)、角屋ゆず((一財)世田谷トラストまちづくり)、竹内智子(千葉大学大学院園芸学研究院)、向山雅之(竹中工務店)、山中淳一(墨田区環境保全課長)
(4) ゼロメートル地帯から考える雨と防災(セッションⅡ-2)
コーディネーター:菜原 航(墨田区環境政策課長)
話題提供:佐原滋元(一寺言問を防災のまちにする会)、三橋さゆり((一財)日本建設情報総合センター)、阿部 京(東京都下水道局計画調整部再構築・浸水対策推進担当課長)、岩本健一郎(墨田区防災課長)
(5) くらしの中の雨水〜見える、楽しむ、活かす(セッションⅡ-3)
コーディネーター:笹川みちる(雨水市民の会)
話題提供:金谷直政(京島地区まちづくり協議会、かなや設計)、木下 剛(千葉大学大学院園芸学研究院)、矢神卓也((株)建設技術研究所RisKma担当)、大川原雄一郎(東京都都市整備局都市基盤部調整課統括課長代理施設計画担当)、南 昌子(雨水市民の会)
(6) 飲む雨水〜インフラとヒトの変化から考える飲むあまみずの近未来(セッションⅡ-4)
コーディネーター:山村 寛(中央大学人間総合理工学科)
話題提供:石山民子(アジア砒素ネットワーク)、小熊久美子(東京大学)、鎌田芳久((有)鎌田工業所、あまみず水道屋)、前田瑶介(WOTA株式会社)
(7) セッションⅡ-まとめ
(8) 雨水は世界を救うか?(セッションⅢ)
特別講演「雨の恵みと災いーわたしたちの都合」沖 大幹(水文学者、東京大学教授)
パネルディスカッション 「雨水、文化、都市の未来を語る」
コーディネーター:橋本淳司(水ジャーナリスト、アクアスフィア・水教育研究所)
パネリスト:沖 大幹、長谷部 愛(東京造形大学非常勤講師)、石井秀幸(ランドスケープアーキテクト、スタジオテラ)、尾崎昴嗣(R&U・レゾリューションズ)
(9) すみだ雨水宣言2024
閉会にあたってのまとめと「すみだ雨水宣言2024」 山本耕平(大会実行委員長、雨水市民の会)と学生たち
(10) すみだの雨水活用を見てみよう〜エクスカーション
A. たもんじ交流農園と多聞寺
B. 両国ポンプ所と両国国技館周辺
C. 東京ソラマチ・スカイツリー
(11) 楽しく雨を体験 〜あまみずフェスティバル
雨水活用展示:団体、企業、自治体による活動紹介 展示・体験:雨のしずくモビール
雨・水の絵本紹介:災害対応リヤカー図書館「北斎丸」 展示:江東5区段ボールジオラ、雨の浮世絵
体験:雨つぶぐるぐるすごろく大型版 上映:雨と水の動画
雨水えんにち セルフイベント:すみだ雨水まち歩き、朝カフェ
8/2限定プログラム:「水の日」応援大使「シャワーズ」とグリーティング・打ち水
2024年8月3〜4日に開催された第14回雨水ネットワーク全国大会2024 in すみだは「雨水ネットワーク全国大会 in すみだ実行委員会」および墨田区が主催して行いました。実行委員は、地元団体のNPO法人雨水市民の会、NPO法人寺島・玉ノ井まちづくり協議会、中央大学、千葉大学、合同会社アールアンドユー・レゾリューションズ、雨水ネットワーク事務局・公益社団法人雨水貯留浸透技術協会など、18名のメンバーで構成。墨田区は大会会長として山本亨墨田区長、区役所事務局として環境政策課が参加しました。