ひと・市民

読み聞かせの醍醐味を感じた瞬間

南 昌子(理事・雨の絵本ひろば担当)

180721_happyou_yomikikase1雨水市民の会の「研究・活動発表会」は、総会と同日開催されています。私は、今回で5回目になりますが、絵本を読み聞かせをしています。5回目ともなるとそろそろネタも尽きてきて、今年は何を読もうかと考えていた時、娘にある本を読んでいた時のことを思い出しました。

その本は、私も娘も読むのは初めて。どんなお話か知らずに読み始めました。

そして、あるページを読んだとき、「エ~ッ!!!?」と思う瞬間が娘と私とでぴったり一致したのです。その時、多分この本を初めて読んだ人はみんな同じところで「エ~ッ!!!?」と思うのでは?と感じました。そこで、市民の会の皆さんにも、この「エ~ッ!!!?」の瞬間を体験していただこうと思います。

なので、今回は何の本を読むのかは内緒です。

ということで、今回読んだ本は「はらぺこ ガズラー」です。

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あるところに、1ぴきのぶちねこがいた。

このぶちねこ、とびきりのおおぐらいで、くってもくっても、はらいっぱいになったためしがない。

だから、なまえも、ガツガツ・ガズラー。

_____________________________(『はらぺこ ガズラー 』より)____

『はらぺこ ガズラー』(作:ハアコン・ビョルクリット,訳:かけがわやすこ,ほるぷ出版)

『はらぺこ ガズラー』(作:ハアコン・ビョルクリット,訳:かけがわやすこ,ほるぷ出版)

このガズラーは何でも食べてしまう。

さらのさかな、かまのかゆ、みずさしのミルク、だんなとかみさん、でぶぶた、えんとつそうじ、ぼくしさん、はなよめさんとはなむこさん、せんちょうとせんいんぜんいん

であうひとを、つぎつぎと、ガツガツくっちまった。

くいおわったガズラーは、ふねにのってうみにでて、おうさまのしろにやってきた。

そして、おうさまも・・

よるになって、おかの上に、お月さまがかおをだすと、お月さまも・・

 

娘に読み聞かせをしながら、ここまできて、私は、(アラッ!また食べちゃった!)と思った。

その瞬間、聞いていた娘が、「あらまー!」と、叫んだ。

それが、ドンピシャ、ぴったりと一致したのです。

ちょっとビックリしたのですが、感動ともちょっと違う、なんとも言えない気持ちになりました。

お話を読みながら、物語の世界を共有して、同じところでびっくりして、「あらまー!」と叫ぶ。

読み聞かせって、こういうことなんだと思った瞬間でした。

 

ガズラーは、この後、おひさままでもくっちまおうとして、パッカーン!とはれつしちまった。

とたんに、ガズラーがくったものが、そっくりそのまま、(くったのとは逆の順番で)とびだしてきた。

それから、だんなとかみさんは、ガズラーにくいつくされはしないかと、びくびくしないですむようになった。

 

「はらぺこ ガズラー」は、なんとも言えない不気味な話ですが、子どもたちは大好きです。

その理由の一つは、お話が、積み重ね話になっているところです。お話が進んでいっても、必ず最初から食べたものが繰り返し出てきて、最後に新しいものが一つ加わる。「おおきなかぶ」と同じ、お話の形です。

もうひとつは、最後にガズラーは、パッカーン!とはれつして、くったものが、そっくりそのまま、とびだしてきます。ガツガツ・ガズラーはいなくなって、みんなもとどおりです。だんなとかみさんも、ガズラーにくいつくされはしないかと、びくびくしないですむようになりました。

あー、これでひとあんしん。

 

この記事は、平成30年度雨水市民の会研究・活動発表会(2018年7月21日)で発表報告されたものを編集し直しました。

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