ひと・市民

仙台・陸前高田雨水活用レポート(1) 仙台市仮設住宅で役立った雨水タンク

あまみず編集部 高橋朝子

滋賀県立大学の柴田教授に陸前高田市の「希望の家の小さな家」に雨水活用して欲しいとの要請があったことを契機に、2012年11月13~14日、山本理事長、松本副理事長、大西会長(雨水利用事業者の会)と高橋で仙台市、陸前高田市を訪れた。

2012年11月13日、仙台市では、昨年度から事業者の会がボランティアで取り組んできた仮設住宅の雨水タンクを見学した。訪問したのは、仙台市の13か所ある仮設住宅の中で最大233戸のあすと長町仮設住宅の飯塚正広自治会長。平日の訪問にわざわざ休暇を取って対応してくださった。

雨水タンクの前で飯塚自治会長さん(中央)と話す。使い方がわからず、タンクのふたが壊されたことがあり、予防でガムテープを貼っているという。

雨水タンクの前で飯塚自治会長さん(中央)と話す。使い方がわからず、タンクのふたが壊されたことがあり、予防でガムテープを貼っているという。

ここに住むのは、被災した各地から集まった人たちで、昨年8月に、ごみの出し方のルールを守る運動から始まり、自主的に自治会として発足した。にわか作りの住宅で、側溝もなく雨が降ると床下に雨がたまったり、通路が暗くてけが人が出たりと、市との交渉も度々あった。雨水タンクは、園芸の好きな住民には大変好評で、水やりのため12か所しかないタンクでは足りないくらいだった。雨が降るとすぐに溜まるのも驚きだったそうだ。設置した大西会長は、仮設住宅はあと2年間しか住めないが、タンクに愛着を持つ人たちに別の場所でも利用してほしいと話した。

住民は高齢者の方が多く、さらに別の場所に行かなければならないとなると大変負担になるのでは?という質問に、飯塚自治会長さんは都市プランナーも入れてこの土地に復興公営住宅を建て、仮設に残る住民も含めたコミュニティとする計画を市に提案しているという。

設置された雨水タンクやパッコン。左のタンクは、住民が改良して倒れないように固定したり、通路にはみ出した部分にラインを入れたりしていた。

設置された雨水タンクやパッコン。左のタンクは、住民が改良して倒れないように固定したり、通路にはみ出した部分にラインを入れたりしていた。

あすと長町仮設住宅の建物のそばには、野菜や花が立派に育っていた。雨水タンクは大変重宝しているそうだ。

あすと長町仮設住宅の建物のそばには、野菜や花が立派に育っていた。雨水タンクは大変重宝しているそうだ。

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