2015.12.15
庭にとけこむ雨水活用 その3 ~蕎麦屋さん「あり田」の雨水庭園
谷口 淳一(Webあまみず編集委員)
2013年10月と2014年5月のWebあまみずでも紹介した会員の麓雄二(ふもと・ゆうじ)さんの雨水庭園が、2014年6月にオープンした雨水銭湯・御谷湯のエントランスに続いて、本厚木のお蕎麦屋さんの店先に完成したとのことで、見に行ってきました。
今回の現場は、小田急線の本厚木駅南口から神奈中バスの平53系統平塚駅北口行きに10分ほど乗って、リバーサイドバス停下車徒歩30秒ほどの「あり田」というお蕎麦屋さんになります(バス通り沿い)。
麓さんに案内して頂いたこともあり今回は迷うことなく無事現地到着(写真1)。入口横の窓には「十割そば」「獺祭」の貼り紙が、そして引き戸の上には「食べ物は人に良い物であり田意」とあり、これは美味そうな蕎麦が楽しめそう。さっそく日本酒を…って、まずは取材でした(笑)。
さて。
入口横の窓の下には、柄杓の置かれた素焼きの鉢。そこに水が流れ込む竹を辿っていくと、軽やかな笹の根元付近には頂上から水が吹き出るであろう陶製のオブジェが配置され、コンパクトながらいつもの麓さんの雨水庭園の世界が形作られていました(写真2)。
例によって、この陶製オブジェは麓さんのお手製。以前のものよりも水が出やすいよう改良を加えてあるとのことで、素焼きの鉢の水をやや大きめ柄杓で掬って笹の根元にまいてみると…ややあって陶製オブジェの先から柔らかな勢いで水がほとばしります(写真3)。
そしてこの水は、建物左側に見える雨樋から取水され2連のコンテナボックスに溜められた雨水が、エアコン室外機の手前に見える水位調整タンクから供給されるのですが(写真4)、この雨水庭園の魅力は、動力や水道には一切頼らず、雨水とボールタップという自然の仕組みでだけ実現されていること。

写真2(左) 手前の素焼きの鉢から水やりをすると、奥のオブジェ(白丸部分)から水が供給される。
写真3(中) 写真2の白丸部分の拡大写真。陶製のオブジェの先から水がほとばしっている。
写真4(右) 手前の竪樋から雨水が2連のコンテナボックスにためられる。
なお、雨水庭園を仕込む前の状態が写真5になります。植え込みがスッキリしただけでなく、室外機とタイル部分が木のスリットで覆われたことで、もとよりご馳走の「手造りそば」にふさわしい雰囲気になったのではないかと思います。
雨水庭園とあわせて是非、あり田さんのおいしいお酒とお蕎麦も味わってみてください。
手造りそば あり田:神奈川県厚木市岡田5-17-17 定休日:月曜日の夜と火曜日 詳細は電話046-228-0438まで(あり田は、移転のため2017年12月に閉店しました。)